家久の死。


おそろしくて聞くことができなかった。

毒なのか。
病なのか。

毒ならば、
どうしてそうせねばならなかったのか。
あの方は知っていたのだろうか。
あの方は関与していたのだろうか。

未だ、
噂の域を出ぬままで。







そっと尋ねた。

「秀長さま」

それは驚くほどにか細くて。
届いたかどうかもわからない。
けれどあの方は振り向いた。
変わらずにこりと微笑まれ、変わった私の声に心配したようだった。

「どうかしたのか」

そう尋ねる声は優しくて。
ひらいた口は、ただ息を吐いただけに終わった。







「秀長様」

もう一度呼ぶ。
それまでどれほどかかったのか。
あの方は私の言葉を静かに待っていた。


「島津、家久殿は」
喉が渇いた。
「盛られた、のですか」
なんてことを言うのだ。
根拠も無しに。
噂が広まったというだけで。
なにより、
彼はあの方に従って上洛したいと言っていたそうではないか。



家臣として、
私は踏み込んではならない領域に踏み出してしまっているのではないだろうか。
単なる病死であるとすれば良いものを。




庭を散策していた小鳥がぱさり と飛び立った。
屋敷の塀を越え、空高く。



一呼吸置いて。



「まさか」

あの方は、変わらず微笑まれた。













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反転で呟き。
彼は病死だと、良いな・・・と。
島津側にしろ豊臣側にしろメリットはあまりないと思うのです。
2008.6.5