暗くどんよりとした空が一瞬輝く。
輝くには一瞬すぎて、何を感じる暇も与えないけれど。
瞬間。
爆発が起きたような、耳元で狼が吠えたような音が落ちる。
何度も繰り返すこの空は大地を突き崩してしまうのではないか。
おそるおそる空を見上げた瞬間。
カッと光り輝く。
「ひっ」
ビクリと体を縮こませる。
しん、と辺りが静まると、また廊下をぺたぺた足早に進む。
次第に雨の音が酷くなってきた。
崩した大地を押し流すように思えた。
そしてまた空が輝いた時。
人影が見えた。
「兄上ぇ・・・!」
会いたかった。
後姿を認めるとすぐさま走り出す。
大地を突き刺す音にビクリとしたが、立ち止まらなかった。
するとあの人はくるりと振り向いて。
飛び込むように抱きついてきた小さな子供を受け止める。
「兄上ぇ」
「どうした、弁」
その困ったような笑みに、怖くないのかと思う。
「空が、」
「こわいのか」
コクリと頷く。
そのようすに信幸はくすりと笑って。
「心配するな、弁。大丈夫だ」
すすり泣く弟の頭を撫でる。
信幸は大丈夫だ、と繰り返しながら、
早く雷だけでも止まないかと空を見上げた。
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反転で呟き。
子供の泣き声、泣き方、その表情、なんであんなによによものなのか。
2008.6.9