なんのためにここへ来たのか。
彼らは。
そして俺は。
「あなたは浪人とはいえ大名ですから」
そんなことを誰かが言った。
俺は別格なのだと言われた気がした。
俺は、違うのだと言われた気がした。
「俺は、異常なのだろうか」
ポツリと呟く。
それは独り言にしてはあまりにも大きくて。
けれども誰かに話しかけるには小さくて。
一体どちらなのか。
「は」
捨て置けぬが構いたくは無い。
勝永は嫌そうに一言吐く。
「考え事なら全登んとこ行けよ」
返事は無い。
勝永が軽く舌打ちした。
外は霧雨。
音もなく、また明るくもなく。
部屋は薄暗かった。
「彼らと違って、俺は、俺の目的は」
「目的は皆それぞれに決まってンだろ」
話したいのか話したくないのか。
一体どこを見ているのか。
視線を落とす盛親に勝永は歩み寄った。
「異常とか、正常とか、誰が決めんだよ。お前が勝手に決めてンだろ」
じろりと盛親が勝永を見上げる。
思考の邪魔をするなとでも言うのか。
勝永は負けじとそれを受け止めると、更に続けた。
「皆と違うから異常なのか。皆がそれは異常だとすれば異常になるのか」
「・・・」
「誰がための異常なんだ。感傷に浸りやがって」
「貴様、いい加減に」
「黙れ。うじうじされると嫌なんだよ、オレは」
ぐっと盛親は口を噤んだ。
図星だったろうか。
しかし勝永に謝る気などさらさら無かった。
「お前のことは、好きじゃない」
勝永はくるりと踵を返して、薄暗い部屋を後にする。
襖に手を掛けたその時。
「奇遇だな。・・・俺もだ」
精一杯の嫌味が返ってきた。
勝永は何も言わずに部屋を出た。
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反転で呟き。
この二人は微妙な仲の悪さ希望です。
お門違いもいいとこなのはわかってるけど、なんて
2008.6.8